ストリップららばい 桜ともえ

大衆的娯楽と考えられている「ストリップ」。踊り子と呼ばれる女性達が音楽に合わせて服を脱いでいくさまを見せる出し物であり、風俗産業の一種とも呼ばれている。男性なら一度くらいは足を運びたいと思っていても、一度もストリップという踊り小屋に足を踏み入れたこともない輩も少なくはないはず・・・。
元踊り子である桜ともえが、踊り子の視点からそのストリップの世界をご案内。昔、足を運んでいた常連の人もお立ち寄りください。

■第8話 引退 NEW!
■第7話 チョット脱線
■第6話 従業員との思い出
■第5話 15分
■第4話 お客
■第3話 女の園
■第2話 ポラロイド
■第1話 はじめまして

2012年02月05日

第4話 お客

踊り子にとって欠かす事の出来ない存在、お客。
実に様々なタイプのお客さんがいるのですが、楽しいお客からいや〜なお客まで、
私の記憶を辿りながら紹介していきます。

何から説明していこうかな・・・  

まず大きく分けて、一見(いちげん)さん・常連さん・おっかけさん、がいます。  

一見・・・初めての人の事です。祝ストリップ体験!!という感じでしょうか。
     劇場にまだ足を踏み入れた事が無い人、知り合いに誘われ怖いもの見たさで来た人etc。
     緊張の壁を乗り越え、頑張ってポラを撮る事が出来ても、正直踊り子の名前までは覚えてない・・・
     というタイプです。  

常連・・・説明するまでもありませんが、ストリップが好きな人、躊躇無く場内に入れる人、
     劇場の従業員や踊り子に気さくに話しかけられる人、そしてエロポラも衣裳ポラも、撮る!
     こんなところでしょうか。  

おっかけ・・・踊り子の遠征(旅)先の劇場まで、必ず応援に駆けつける人。
       踊り子が頼むワケではありません。あくまでも任意、お客さん本人の意思です。
       私たちには非常に有り難い存在です。        エロポラはあまり撮りません(笑)  

どのお客さんも、初めは「一見」です。
ストリップの世界観に魅了された人が常連となり、更に踊り子の魅力に惹きつけられた人が、やがておっかけへとなっていくのでしょう、、、。

私たち踊り子は、ポラロイドショーの際、お客さんから色紙にサインをお願いされると、プリクラの様なシールや名前シールを ペタペタと貼りまくり、次の回の出番に色紙を返すのですが、このシールも全てお客さん(常連さん&おっかけさん)が作成していました。 ポラロイドショーの時間に衣裳ポラや合同ポラを買い、自宅に持ち帰りPCでシールを大量に作る。 そして翌日の公演中、差し入れと共に渡してくれるのです。 バリエーションも豊富で休憩中のサイン書きも楽しく感じられました。

非常に愛を感じます。
今更ながら感謝です。  

応援スタイルもなかなか手が込んでいて、ただ手拍子するだけでなく、小道具を用いて応援するスタイルがありました。 それは、タンバリンとリボン。 そのままですが、タンバリンさん、リボンさんと呼ばれています。

さあ、一体彼らの役目とは・・・?
タンバリンさんはダンス曲の間、的確なリズム感でタンバリンを鳴らし続けます。
メインのベッド曲でタンバリンを鳴らす事はありません。
ただただ静かに見てくれていました。
ダンス曲では場内を盛り上げ、脱ぎの曲に入ると静寂になる、、、言わばステージ進行にメリハリをつけてくれる貴重な存在です。
リズムが少しでも狂うと踊りづらいので、練習は必須でしょう。
お目当ての踊り子さんを応援しますが義理人情が厚いため、全出演者平等にタンバリンを叩いてくれます。

私が現役の頃、タンバリンさんに「どうしてリズムが狂わないで叩けるの?」と素朴な質問をしたことがあります。
40代半ばの彼は「昔はこう見えてバンドマンだったからね〜」と照れくさそうに言っていました。

一方リボンさんはと言うと・・・
商売道具の入った大きな紙袋を手に提げ、客席の最前列端を陣取り、踊り子の決めポーズの際サテン地7〜8メートルはあるリボンを空中に投げます。 踊り子にかかる寸前で引き戻す、という作業、いや神業を披露しステージを華やかに演出してくれます。 ポーズは数秒毎に変わるため、踊り子にかかってはいけません。
リボンが絡まって、次のポーズに移れないからです。
昔は紙テープだったそうですが、エコ重視(?)からなのか繰り返し使用できるサテンのリボンになりました。光沢感があり、更にスポットライトに照らされるのでとても煌びやかです。

お目当ての踊り子さんにリボンを投げ華やかな演出をしてくれますが、
次のお姐さんの出番中にリボンを回収し、再び巻いて元の状態に戻す作業をするため、
出番待ちの踊り子からは激しいバッシングに遭ってしまうのも事実でした。
「気が散って踊れない」とか「アタシのステージを見ないで撤収作業?」という、
いわゆるオンナの嫉妬・・・ですね。

私自身、これが原因で姐さんからとばっちりを受けた事が何度かありました、、、(汗)  

なのでリボンさんは投げ終えるとすぐさまロビーへ向かい、そこで撤収作業にとりかかっていた事を思い出します。
で、次の出番のお姐さんのポラを1枚でも買ってあげると、事は穏便に運びます。
お客さんと言えど、踊り子に対してはかなり気を遣ってくれていました。

それでは、私たちにとって良いお客とは・・・?
やはり、純粋にストリップが好き。という人です。

分かりやすく言うと・・・ズバリ、見返りを期待しない人。です。
ごめんなさい、言い切ってしまいました。
実際にはなかなかいませんが・・・。

劇場の雰囲気を楽しみ、また普段の日常生活に戻っていく。
非日常的なスパイスを楽しめるお客さんには好感がもてます。  

ポラを買い、でもエロポラは買わず、ほんの気持ちの差し入れをしてくれる。
踊り子からしたら都合の良い話かもしれませんが、そんなお客さんを求めます。  

ポラやお客ネタで、懐かしい出来事を思い出しました。
ちょっと肩の力を抜いて読んでください。

仲の良い姐さんがお客いじりを始めたのです。
どんな事をしたのかと言うと、、、
「ハーイ、お待たせしましたー、ポラロイドの時間でーす。エロポラを撮りたいお客さんはー、どこを撮りたいのか大きな声で言ってねー。」
と言い放ったのでした。

出番を待つ私は舞台袖で驚き、でもおかしくておかしくて、、、。
もちろん、その姐さんがお目当てのお客さんは、「☆☆☆☆」と本当に頑張って言っていました。

でも姐さんはそれだけでは納得いかないようで、「ハイ!?今なんて言ったのか全然聞こえないんだけどー。もう1回言って!!」
とピシャリ。
お客さんはそれはもうしどろもどろ。
勘弁してよ〜、と言わんばかりの反応を見ながら、姐さんは大いに喜んでいたのでした、、、。
ポラロイドショーとオープンショーを終え、舞台袖に戻ってきた姐さんに、私が「Sですね〜(笑)」と言うと
「アタシはMだよ〜」という返しが。
出番後の姐さんと出番前の私、その僅かな時間のすれ違い様、
舞台袖でケラケラ笑い合った事がありました。 そして場内の雰囲気が温まったところで私の出番。
大分リラックスして踊れた事を覚えています。
後輩思いの、可愛くて茶目っ気たっぷりの人でした。
ちなみにこの姐さん、まだ現役でバリバリ踊っています、、、。

それでは話を元に戻して、逆に嫌なお客、それから困ったお客とは、一体どんなタイプの人でしょう・・・?

うーん、やたらと踊り子と距離を縮めたがるお客です。
ポラロイドショーでエロポラを買ったかと思えば自分の名刺を渡し、
裏に 「食事に行きましょう」とか書いてある。 もちろんシカトです。

それから執拗に連絡先を知りたがる・・・
何を勘違いしたのか、個人的なコミュニケーションを求めるお客は多かった・・・。
楽屋ではすぐ、姐さんたちの間で要注意人物とみなされます。  

私たちは時に、娼婦と思われている事も多々ありました。
実際私も外国人観光客から「コンヤイイデスカ?」と何度も聞かれた経験があります。
そのたびに従業員さんが登場し、外国人相手に何やら説得をしていました。  

あと、都内の劇場では夜の出待ちも頻繁にありました。
公演後0時には閉店するため、終電にはまだ間に合います。
劇場を出て新宿駅に向かうのですが、背後から何とも言えない空気を感じた事がありました。
ホームに着いた頃、場内の客席に静かに座っていた男性が、笑いもせず、こちらを見ているんです。
慌てて劇場へSOSの電話をかけ、ホームまで着てもらった事もありました。
電話の最中に彼は姿を消しましたが、常に警戒していないと危ない面がありました。

 ここで一つ、実際にあった姐さんの体験談をお話しします・・・
踊り子をして10年、この業界の事は熟知しているその姐さんは、安心できるお客さんに自宅から劇場までの送迎をお願いしたそうです。 姐さんも、それからそのお客もベテラン。 紳士で、見返りを期待しない、正に客の鏡・・・。

 その姐さんが地方遠征へ行き、10日間踊り終えて東京の自宅へ帰ってくると部屋の様子が違う。
荒らされているわけじゃないのに、10日前と何かが違う・・・。
気のせいではない。 胸騒ぎがし貴重品を調べてみると、通帳とカードが消えていたそうです。

急いで警察に被害届を出し、慌ててカードを止める・・・。
一体誰が?見当がつかない。

数週間後警察から連絡があり、ATMの防犯カメラに犯人らしき人が写っているから確認に来てほしいとの事。
犯人に心当たりが全く無い姐さんは、映像を見て愕然としたそうです。

映し出された映像には、たった一度送迎をお願いしたあのお客の姿があったそうです。
逮捕・・・。

姐さんはしばらく、人間不信に陥ったと言っていました。
私は聞いていて鳥肌が立ちました。
どんなに信用していても、良い人そうに見えても、
踊り子とお客の間にはある程度の距離は必要だよ、と教わりました。

私はこの話を教訓に、お客に携帯やアドレスを安易に教えない、という自分なりのルールを作り、引退するまでそれを守り続けました。

お客さんから乗りの悪い踊り子と思われても、逆にプライドが高い踊り子と思われても構わない。
事件に巻き込まれるよりマシだと思ったからです。

踊り子にも様々な性格の人がいるように、お客にも色々な性格の持ち主がいます。
気をつけてお付き合いしないと、痛い目に遭ってからでは遅いんですね。

ただ、このような人たちも含め、踊り子、それから劇場はお客さんに支えられているんです。

私は現役時代に大御所の姐さんから、「踊り子がお客を育てるのよ。」と言われた事がありました。
ちょっと脱線しそうなマナーの悪いお客には、踊り子がビシッと一喝。

これ、意外と効き目アリでした。
踊り子の姐さん達は、とても芯が強くたくましく、それでいて寛容でした。
これぞ日本の女性、、、私にはそんな風に映りました。

次回は気分を変えて私たち踊り子の持ち時間『15分』にスポットを当ててみたいと思います。
日常生活の中で、何気なく過ぎてしまう15分。
この限られた時間の中で踊り子は何を表現し、何を伝えたいのでしょうか、、、。

お楽しみに! 
posted by 桜ともえ at 01:19| ストリップららばい